たった10分で、数万個の卵に影響する。
テクノロジーでコントロールする畜産物流。

interview

社員の日常

Profile

養鶏生産本部 GPセンター K・N

応用生物科学科出身。高校は農業高校、大学でも生物系・食品系を専攻し、一貫して「食と生き物」の道を歩んできた。中部地区で畜産の現場を支えたいという想いから入社し、瑞浪GPセンターに配属され現在3年目。

「畜産」のはずが、そこは「工場」だった。

入社前の見学では理解していたつもりでした。でも、実際に働いてみると、畜産というより「工場」。扱っているものは確かに卵なんですけど、業務内容は部品工場に近い感覚で、最初は正直「思い描いていたものとちがう」という戸惑いがありました。ただ、考えてみれば、ここで扱う卵が毎日何万個と出荷され、日本中の食卓に届いている。第一次産業を支える立場であることに変わりはないし、これも大事な畜産の一部なんだと。そう思い直してからは、むしろ機械と向き合うこの仕事が面白くなっていきました。GPセンターって、検査装置から自動倉庫まで最新の機械がぎっしり並んでいて、重量・大きさ・強度・汚れ、すべてが自動で検査されるんです。じゃあ人間は何をするのかというと、「機械の面倒を見る」こと。これが想像以上に奥が深い仕事なんです。


機械が止まった10分が、数万個の卵を左右する。

万が一、機械が止まったときは本当に大変です。うちはインラインといって、農場から直接GPセンターに卵が引き込まれてくる仕組みなので、ラインが10分、20分止まるだけで数千から数万個の卵に影響が出る。だから軽微な故障や調整はすべて自分たちで対処します。専門業者を呼ぶのは、本当に内部の深刻なトラブルだけ。僕は生物系の出身で、入社時は機械の知識なんてゼロでした。最初の半年から1年は、ライン業務を一通り体に染み込ませることに必死で、ミスなく動けるようになるのが精一杯。でも、知識を覚えるだけじゃダメで、実際に触って、動かして、壊れた状態を見て、初めて分かることばかりでした。供給が不安定になったときは拠点間で連携して卵を融通し合うこともあります。安定供給って、現場の判断力と瞬発力で成り立っているんだなと、仕事を通して実感しました。


3年で手に入れた、「卵の目利き」という武器。

3年もやっていると、面白いことに卵を見ただけで色々なことが分かるようになります。殻の強さ、色の良し悪し、鳥の日齢による品質のちがい——若い鳥の卵は殻がしっかりしていてサイズも揃っているんですけど、年老いた鳥の卵は不揃いで割れやすくなる。インラインで流れてくる卵を眺めているだけで、「あ、この鶏舎の鳥、もうすぐ引退時期だな」と分かるようになるんです。あと、地味に大事なのがロット管理。白卵から白卵への切り替えなんて、見た目ではまったく判別できません。ロット間に必ず間隔を空けて、農場から共有される餌の種類や鶏舎の情報とデータを照合しながら、正確に仕分けていく。頻繁にロットが切り替わる日は、混乱を防ぐためにあえてラインを止めて確認することもあります。こうした目利きとデータ管理の両立が、品質を守る要なんです。


職場の7割が外国人。「伝える」ではなく「伝わる」ことが大事。

もうひとつ、この仕事で鍛えられたのがコミュニケーション力です。僕が配置を考える従業員は約20〜30人。そのうち日本人は3割くらいで、残りは中国やベトナム出身のスタッフです。みんな日本語を学んできてくれているんですけど、「貯卵庫」みたいな専門用語や、指示を早口で伝えたりすると途端に通じなくなる。厄介なのは、「分かりました」と返事をしてくれても、実際には理解できていないケースがあること。だから写真を見せながら指示したり、相手によって話す速さや噛み砕き方を変えたり、「伝えた」ではなく「伝わった」を基準にするようになりました。一次産業×機械化×グローバル人材。この3つが交差する現場にいると、思考を一方向に固めていたらとても回らない。柔軟に発想を広げることが、毎日求められています。


明確な目標が持てる環境だから、やりたいことは尽きません。

今の僕の役割は、現場の状況を上に報告することが中心です。でも5年目の先輩は、生産部や営業と直接やりとりして、卵の供給量の調整を自分で回している。あと2年でそのレベルに届きたいというのが、今のいちばんの目標です。それともうひとつ、将来リーダーになったら品質管理——特に衛生管理に力を入れたい。農場併設で山の中という立地もあって、虫の侵入や施設の汚れは避けられない課題なんです。卵が通る場所は常に清潔に保っていますが、もっとレベルを上げられる余地はあるはず。機械の進化と人の目、その両方を磨き続けることで、日本の食卓をもっと確かなものにしていきたいと思っています。



MESSAGE

「畜産」と聞くと、牧場で動物と触れ合う姿を想像するかもしれません。でもここは、テクノロジーが詰まった「工場」であり、多国籍のチームで回す「現場」です。機械のことも、卵のことも、入ってから覚えれば大丈夫。僕も生物系出身で、機械の知識はゼロからのスタートでした。大切なのは、目の前の状況に柔軟に対応できること。一次産業、機械化、グローバル——この3つが交わる場所で、思考の枠を広げながら成長できる環境がここにはあります。固定観念は置いて、ぜひ挑戦してください。