季節の厳しさを味わい、データサイエンスで
農場管理するスペシャリストに。

interview

社員の日常

Profile

養豚生産本部 N・S

経済・経営系の学部から大学院へ進み、統計学を専攻。数字を扱う仕事がしたいと養豚業界へ飛び込み、高山のロッセ農場で現場を経験。現在は生産本部でグループ全体の養豚データを集計・可視化する業務に従事。

金融じゃない。養豚だ。数字で勝負できる場所を探した。

大学では経済や経営を学び、大学院では統計学を専攻しました。周りは保険会社や銀行に進む人が多かったけれど、どうもあの雰囲気が自分には合わなかった。大企業だと一人ひとりの裁量が小さくて、自分の仕事が会社にどう貢献しているのか見えにくい気がしたんです。そんなとき、ふと思ったのが養豚の世界。うまく言葉にできないけれど、「やってみたい」という直感がありました。畜産の現場は数字に強い人がまだ多くないのではないか。だったら自分のスキルが活きる場所があるかもしれない。クレストグループを選んだのは、養豚業界では規模が大きく、養鶏という別の事業も展開していて、どちらかで必ず活躍できると感じたからです。


豚は1日に10回ごはんを食べる。深夜2時でも、関係なく。

最初に配属されたのは、高山のロッセ農場。繁殖部門で人工授精の担当からスタートしました。農場が広くて車で移動することにまず驚いたし、豚そのものが初めてだったので何もかもが新鮮だった。ただ、想定外だったのは機械トラブルです。豚舎の空調が止まると豚は呼吸ができなくなるし、餌の自動供給システムが詰まれば大問題。豚って2時間おきに1日10回近くごはんを食べるので、深夜だろうが早朝だろうがトラブルは起きます。寮が農場の近くにあったので、アラートが鳴ればまず自分が駆けつける。正直、電話が鳴るのが怖くなった時期もありました。でもその経験が、後に「データで予測できれば、もっと的確に手を打てるはずだ」という発想の原点になったんです。


1,800頭の個体データが教えてくれること。

農場での仕事は体力勝負の側面もありましたが、それ以上に数字の世界でした。繁殖部門では母豚1頭1頭に番号がついていて、交配日、分娩日、産子数、離乳頭数など、すべてが数値で管理されている。ロッセ農場だけで約1,800頭。このデータを読み解けば、どのポイントを改善すれば全体の成績が上がるかが見えてくる。たとえば、過去のデータから夏の暑さを予測して早めに対策を打つ。冬場は換気量を抑えることで室温は確保できるけれど、新鮮な空気が足りないと呼吸器系の疾病が出やすくなる。温度管理ひとつとっても、データと現場の両方を知らなければ正しい判断はできません。入社して2年くらいは「いろんな数字があるな」と眺めるだけでしたが、季節を重ねるごとに、数字の裏にある意味が少しずつ読めるようになりました。


「辞めたい」が、「ここで働きたい」に変わった。

農場で2年ほど過ごして、正直なところ、自分にはこの環境が向いていないかもしれないと感じました。機械いじりが苦手だったし、時間に関係なく対応を求められる日々にも限界を感じていた。退職も考えていたとき、会社から提案されたのが本社の生産本部への異動でした。ここでの仕事は、グループ全体の養豚データを集計・可視化すること。まさに自分がやりたかった「数字で貢献する」仕事でした。現在はBIツールを活用して、生産成績や売上データを農場ごとにデータベース化し、分析と改善提案を行っています。個体データの集計により、成績が低迷している母豚を可視化したり、肥育ステージの中で不調傾向にある豚舎がないかを早期に把握できるようになりました。


デジタルで見える数字の裏に、人の手がある。

今は、月に1回ほど各農場を回っています。車で3時間弱、前泊して朝から現場に入ることもあります。農場の人たちは他の拠点との交流が少ないので、自分が各農場を巡って情報を共有する役割も担っています。画面上の数字だけでは見えないものがあるため、農場スタッフと顔を合わせて話すことで、その後のデータのやりとりが格段にスムーズになります。豚の飼養はデータだけで完結するものではなく、人の手による判断や経験がなければ成り立ちません。だからこそ、デジタルの数値で貢献できている今の自分には、あの農場時代の経験が確実に活きていると感じます。深夜のアラートに怯えた日々も、高山の厳しい冬も、全部が今の仕事の土台になっている。そう思えるようになりました。



MESSAGE

畜産にデータサイエンスなんて、ピンとこないかもしれません。でも実際には、1頭1頭の個体データが農場の未来を左右するし、数字に強い人材が求められている世界です。僕自身、経済系の出身で畜産の知識はゼロからのスタートでした。現場を経験して、向いていないと感じた時期もありました。それでも会社は「じゃあこっちで力を発揮してみないか」と別の道を示してくれました。自分の得意なことで貢献できる場所は、きっとあります。数字が好きな人、分析が好きな人、ぜひこの業界をのぞいてみてください。