いつもと違う音を感じられたら一人前。
戸惑わせているだけなら、まだ半人前。

interview

社員の日常

Profile

養鶏部門 品質管理室 M・S

農学部畜産学科卒。両親も動物好きで、幼い頃からいろんな動物に囲まれて育つ。大学は未知の土地に興味があり、九州へ。就職先も土地にこだわらず探し、社風に惹かれたクレストグループを選んだ。

牛にはなめられ、豚にもなめられ。だから、鶏を選んだ。

小さい頃からずっと動物が好きでした。両親もそうで、実家でいろんな動物を飼っていたこともあって、将来は動物に関わる仕事をするんだと決めていました。獣医も考えましたが、やはり狭き門ですし、あまり手先が器用というわけでもなくて。だったら食にも近い畜産の道へ——そう決めて、地元埼玉を離れて鹿児島の大学へ行きました。大学では牛も豚も鶏も一通りやりました。でも、牛は体格的に勝てない。鹿児島の黒牛って本当に大きくて、入った瞬間に「こいつには勝てる」と見定めてくるんです。体重測定のとき、一番小さい私のところを狙って突っ込んでくる。おとり役です、完全に。豚にもなめられる。でも鶏は平気だった。消去法みたいに聞こえるかもしれないけれど、鶏を選んだのは、ちゃんと自分にあった環境を考えての結果なんです。


6万羽の「白い物体」と、新人時代の戸惑い。

入社して配属されたのは関農場。大学では牛や豚を一頭一頭扱っていたけれど、現場はまるで違う。目の前にいるのは6万羽の鶏。パッと見は何かしらの白い物体です。育てるというよりも、機械での管理がメインの仕事という印象でした。約6万羽の鶏を捕まえてケージに入れる、鶏舎の移動作業もやりました。スタッフは外国人の方も多いのですが、彼らは一度に9羽掴めるのに、私は4羽がやっと。手の大きさも筋力もまるで違う。回数でカバーしようと頭を使いましたが、体力にも限度があって中々こたえました。
あと、それ以上に戸惑ったのが、配属して間もなかった頃の周囲の反応です。話しかけてもなんだか素っ気なくて。私のコミュニケーションが下手なのかなと心配していましたが、途中で気づきました。みんな人見知りなだけなんだと。笑


こちらから踏み込んで、状況を変えていくことの大切さに気付いた。

実は当時、新卒が農場に配属されること自体が珍しかったようで。みんな、どう接していいか分からず、戸惑っていたみたいです。ただ、気を使ってくれてのことではあったのだろうけど、少し距離は感じていて。「まだ新人だから、全部はできなくて大丈夫」みたいな空気を感じたときに、正直悔しくなりました。だから、自分から聞きに行くことにしたんです。何ができますか、じゃなくて、「これやらせてください」と。力ではかなわないなら、気づく力で勝負しようと。観察する、変化を見つける、それを伝える——そうやって自分の居場所をつくっていきました。周囲の反応に遠慮しているうちは、何も始まらない。こちらから波を乗り越えていかないと、いつまでたっても半人前のまま。その感覚は、今の品質管理の仕事にもそのままつながっています。


10分のデータチェックに、12年の経験が詰まっている。

農場で2年を過ごした後、品質管理への異動の話がありました。力仕事ではどうしても差が出る中で、もっと自分を活かせる場所があるはずだと思っていたので、迷いはありませんでした。この仕事は、工場の衛生管理と卵の品質管理が柱です。週に1回、検査データが届き、基準値から逸脱した数値に印がついているのを確認するのですが、その「10分のチェック」で異常に気づけるかどうかが勝負です。鶏の日齢や鶏種による品質の傾向、検査担当者のクセ、環境的な要因——それらを複合的に読み解いて、原因が人的なものか、環境か、突発的な病気かを判断する。「勘」と「経験」の世界です。これって、マニュアル化しようにも、なかなか難しいんですよね。とにかく回数を重ねることが、成長への近道です。


五感がセンサー。いつもと違う音が聞こえたら、それが合図。

この仕事をするようになってから気づいたのですが、私は耳が良いほうみたいで。機械の異音…いつもより少し高い音や、スレが多い感じに気づくことができます。あと、鼻も利くほう。品質管理では、この「いつもとの違い」を感じ取れるかどうかがすべて。まず通常の状態を体に覚えさせて、そこからの逸脱に反応する。データだけでは見えないものを、五感で補うことが必要となります。逸脱の状態に気づくこと、現場の人にその逸脱を伝え状況を説明する力、現場の人に改善してもらえるようにするコミュニケーション能力、これらが品質管理として仕事をする上で必要だと思います。
世間がイメージするような、動物との触れ合いとはかけ離れた仕事かもしれません。でも、今の私にとってはそれが面白い。12年かけて磨いてきたこの感覚が、日本中の食卓に届く卵の安全を守っている。そう思えるから、今日も現場に立てるんです。



MESSAGE

「動物が好き」だけでは正直、最初はびっくりするかもしれません。6万羽の鳥、機械化された現場、体力差、コミュニケーションの壁——私もぜんぶ経験しました。でも、自分から動けば道はできる。力で勝てなくても、気づく力や観察する力で自分の居場所はつくれます。ほんわかしたイメージとのギャップはあるけれど、そのギャップを乗り越えた先にある「一人前」の感覚は、他では絶対に味わえません。私たちと一緒に、五感をフルに使って働いてみませんか。